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一 括 講 読

投稿時間:12/09/20(Thu) 14:49
投稿者名:学生2
Eメール:
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タイトル:積立利率
坂本先生
はじめまして。積立利率変動型終身保険の保険計理について調べているものです。アクチュアリー試験テキストや過去問題からはなかなか理解することはできずこちらで質問させていただきました。
インターネットで検索すると、ソ〇―生命の約款がトップに出てきました。以下その抜粋です。
抜粋開始
この保険の趣旨
この保険は、区分経理により他の保険種類と区別されたこの保険の資産の運用実績に基づき、積立金に付利する利率を毎月更改する仕組みの保険で、被保険者が死亡したときは死亡保険金を、また、所定の高度障害状態になったときは高度障害保険金の支払を終身にわたって保障するものです。
(〜中略〜)
⑴ 積立金とは、将来の保険金を支払うために、保険料の中から積立てた部分をいい、積立利率を付して積立てます。
⑵ 積立利率とは、区分経理により他の保険種類と区別して管理されるこの保険の資産の運用実績に基づいて、主務官庁の認可を得た方法により計算した利率をいいます。
2 積立利率は、月単位の契約応当日ごとに更改します。
3 積立利率は、この保険契約の予定利率(保険料を計算する際に使用した利率のことをいいます。以下同じ。)を下回ることはありません。
4 会社は、年単位の契約応当日の属する月の積立利率を、過去1年間の各月の積立利率とあわせて、保険契約者に通知します。
(〜中略〜)
第4条 会社は、有効に継続している保険契約について、月単位の契約応当日(〜中略〜)ごとに、その日の属する月の増加保険金額を会社の定める方法により計算します。
2 会社は、次の第1号の金額から第2号の金額を差引いた金額により増加保険金額を計算します。
(〜中略〜)
⑴ 計算日の前日までに払込むべき保険料が払込まれたものとして、積立利率により計算されたその前日における積立金額
⑵ その計算日の前日の基本保険金額を支払うために必要な、予定利率により計算(保険料払込済の契約として計算されたものとします。)された積立金額
3 前項第1号の金額から第2号の金額を差引いた値が負または零となる場合には、増加保険金額は零となります
抜粋終了

予定利率が固定されている伝統的な終身保険の計理は理解しているつもりですが、積立利率変動型になるとなかなか勉強材料が見つかりません。
下記が知りたい点ですが、ご回答もしくは教材を教えていただけないでしょうか。

・保険料設定の業界一般の方法と理想像(最低利率である予定利率を使用して伝統的な終身保険の算式により算出する方法、積立利率の最良推定を使用して伝統的な終身保険の算式により算出したものに別途最低利率の保証コストを合算する
方法が思いつきます。後者の具体的な方法はわかりません)

・上の質問に付随して、責任準備金の算出の、業界一般の方法と理想像

・「区分経理により他の保険種類と区別されたこの保険の資産の運用実績に基づき、積立金に付利する利率を毎月更改する仕組み」とありますが、積立利率の決め方についてもうすこし具体的な内容

ずいぶん多くの会社がこの商品を販売しているようですが、勉強材料が見つかりません。計理的には非常に難しい商品に思うのですが(実現損益と評価損益の取扱い方で解約時にこの積立利率に基づく積立金をそのまま支払ってよいのかどうかなど)。。。

投稿時間:12/10/18(Thu) 12:49
投稿者名:坂本嘉輝
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タイトル:Re: 積立利率
学生2様、

なかなか質問に対する回答が来ませんね。
仕方がないので私から回答してみます。

ご指摘のように、アクチュアリー試験のテキストはほとんど役に立ちませんね。
テキストはアクチュアリー会の会員によりほとんどボランティアのような形で作られているので、内容的にも、タイミング的にも問題が大きなものになっています。

その分、テキストを頭から信用しないで中身の正否をよく考えながらテキストを読んでいく、という使い方もできますが、実務の経験がないとそのような読み方も難しいかもしれません。

さて、ご質問の積立利率変動型終身保険についてですが、まずはアメリカのアクチュアリー会の教科書は見てみましたか?
日本のテキストに比べると圧倒的なボリュームがありますから何か役に立つかも知れません。残念ながら英語を読まないといけませんが。

また、可能であれば、実際にこの商品を扱っている保険会社に質問してみる、というのもいいかもしれません。学生2さんが実際に大学・大学院の学生さんであって、保険会社に就職することも考えているのであれば、会社訪問のつもりで直接質問してみる、というのも面白いと思います。

従来型の商品では予定利率を確保するために様々な資産運用を組み合わせますが、この種の商品では資産運用リスクを排除するために負債対応資産のほとんどを債券で運用して運用利回りの変動を抑えるなどというやり方をしていると思います。信用力の高い確定利付きの債券であれば、ユーロ圏の一部の国の国債のようなことがなければ運用利回りはそれほど大きくは変動しないはずです。その上で現状購入可能な債券の利回り水準とその将来予測により積立利率を決めているものと思います。

保険料率の設定、責任準備金の計算にしても、基本的には考え方は従来型の保険商品と変わりはありませんが、従来型の保険商品では固定の予定利率を与えられたものとして保険料率の設定、責任準備金の計算を考え、これとは別に予定利率を確保するための資産運用を考えるのに対して、この種の商品では資産サイドと負債サイドの両方を同時に一緒に考える、ということになると思います。
また、それが可能になるように資産運用方法を制限しているものと思います。

残念ながら私自身はこの商品を扱ったことがありませんのであまり具体的な話ができなくてすみません。

保険料率の設定、責任準備金の計算あるいは積立利率の決め方の『あるべき姿』というのは質問するのでなくむしろご自分で考えるべきことだと思います。そこで、アクチュアリーとして多面的な考慮ができるかどうかが試されるのだと思います。

むしろ自分がこのような仕組みの商品を開発する立場に立ったとして、積立利率をどのように決めるか、解約返戻金をどのように計算するか、資産運用をどのようにするか、責任準備金をどのように計算するか、それによって契約者はどのようなリスクを持つことになるか、保険会社はどのようなリスクを持つことになるか、考えてみるといいんじゃないでしょうか?

投稿時間:12/11/01(Thu) 14:00
投稿者名:学生2
Eメール:
URL :
タイトル:Re^2: 積立利率
坂本様からヒントをくださりありがとうございます。ご指摘いただきました通り、自ら研究してまいりたいと思います。

投稿時間:12/09/24(Mon) 10:14
投稿者名:坂本嘉輝
Eメール:
URL :
タイトル:Re: 積立利率
学生2さん、

投稿ありがとうございます。
管理人の坂本嘉輝です。

回答する前に、少し質問させてください。

この質問は、アクチュアリー試験の受験準備のための質問でしょうか、実際の商品開発の仕事のための質問でしょうか、あるいは学問的な保険商品に関する研究のための質問でしょうか?

質問者の状況によって回答の仕方も変わると思いますので、差し支えのない範囲でこのあたりについて、およびこの質問の目的など、お知らせください。

投稿時間:12/09/28(Fri) 15:28
投稿者名:学生2
Eメール:
URL :
タイトル:Re^2: 積立利率
1番目のアクチュアリー試験の受験準備のための質問です(将来的には2番目3番目に活かされることもある可能性はあると思いますが。。。。)。
前提としては教科書レベルの生保数理は理解している積りでいます。



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