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投稿時間:12/10/18(Thu) 12:49
投稿者名:坂本嘉輝
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タイトル:Re: 積立利率

学生2様、

なかなか質問に対する回答が来ませんね。
仕方がないので私から回答してみます。

ご指摘のように、アクチュアリー試験のテキストはほとんど役に立ちませんね。
テキストはアクチュアリー会の会員によりほとんどボランティアのような形で作られているので、内容的にも、タイミング的にも問題が大きなものになっています。

その分、テキストを頭から信用しないで中身の正否をよく考えながらテキストを読んでいく、という使い方もできますが、実務の経験がないとそのような読み方も難しいかもしれません。

さて、ご質問の積立利率変動型終身保険についてですが、まずはアメリカのアクチュアリー会の教科書は見てみましたか?
日本のテキストに比べると圧倒的なボリュームがありますから何か役に立つかも知れません。残念ながら英語を読まないといけませんが。

また、可能であれば、実際にこの商品を扱っている保険会社に質問してみる、というのもいいかもしれません。学生2さんが実際に大学・大学院の学生さんであって、保険会社に就職することも考えているのであれば、会社訪問のつもりで直接質問してみる、というのも面白いと思います。

従来型の商品では予定利率を確保するために様々な資産運用を組み合わせますが、この種の商品では資産運用リスクを排除するために負債対応資産のほとんどを債券で運用して運用利回りの変動を抑えるなどというやり方をしていると思います。信用力の高い確定利付きの債券であれば、ユーロ圏の一部の国の国債のようなことがなければ運用利回りはそれほど大きくは変動しないはずです。その上で現状購入可能な債券の利回り水準とその将来予測により積立利率を決めているものと思います。

保険料率の設定、責任準備金の計算にしても、基本的には考え方は従来型の保険商品と変わりはありませんが、従来型の保険商品では固定の予定利率を与えられたものとして保険料率の設定、責任準備金の計算を考え、これとは別に予定利率を確保するための資産運用を考えるのに対して、この種の商品では資産サイドと負債サイドの両方を同時に一緒に考える、ということになると思います。
また、それが可能になるように資産運用方法を制限しているものと思います。

残念ながら私自身はこの商品を扱ったことがありませんのであまり具体的な話ができなくてすみません。

保険料率の設定、責任準備金の計算あるいは積立利率の決め方の『あるべき姿』というのは質問するのでなくむしろご自分で考えるべきことだと思います。そこで、アクチュアリーとして多面的な考慮ができるかどうかが試されるのだと思います。

むしろ自分がこのような仕組みの商品を開発する立場に立ったとして、積立利率をどのように決めるか、解約返戻金をどのように計算するか、資産運用をどのようにするか、責任準備金をどのように計算するか、それによって契約者はどのようなリスクを持つことになるか、保険会社はどのようなリスクを持つことになるか、考えてみるといいんじゃないでしょうか?


以下は関連一覧ツリーです。
- 積立利率 - 学生2 12/09/20(Thu) 14:49 No.3533
Re: 積立利率 - 坂本嘉輝 12/10/18(Thu) 12:49 No.3536
Re^2: 積立利率 - 学生2 12/11/01(Thu) 14:00 No.3537
Re: 積立利率 - 坂本嘉輝 12/09/24(Mon) 10:14 No.3534
Re^2: 積立利率 - 学生2 12/09/28(Fri) 15:28 No.3535


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