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(2001年12月11日)
師走とはよく言ったもので、慌しい気の休まらない日々が続いています。

お陰さまでアカラックスという新しい会社は何とか年を越えることができるようです。まだまだ赤字ですが、何とか債務超過の状況を脱して年末を迎えられそうです。

その前の再保険のサービス会社も、6月29日に解散したのですが、11月28日にようやく清算結了の株主総会を開くに至りました。ここまで来ればあとは清算の登記をして、また清算結了までの期間の確定申告をすれば全ての手続きは終了するので、何とか年内に全て片付けることができそうです。

会社を作るのは無理すれば1か月もあれば何とかなりますが、会社を閉じるというのは本当に時間がかかります。今回の場合1年もかからずに全てを終えることができるのは、会社の規模が大きくなく、たいしたビジネスもなかったということが幸いしています。

実は私はその間8月20日付で(会社閉鎖の連絡をアメリカから受けた2月20日のちょうど6か月後)、清算人を退任して弁護士の先生と交代しています。その後はその弁護士の先生のお手伝いという形で清算関係のことをボランティアで手伝ってきました。

9月11日のニューヨーク・ワシントンの事件でINGもかなりのダメージをこうむっており(前の会社が属していたデンバーの再保険部門より、むしろ昨年買収したミネアポリスにある、リライアスターという会社の再保険部門がロスを出したようです)、デンバーオフィスのスラクチャード再保険の部門も来年1月早々に廃止となりました。

ここへ来てエンロンの破綻で、またまたINGも数億ドルのロスを出し、最近のニュースではINGはアメリカの事業で15%の人員削減を発表しています。

このように考えてみると、2月の段階でING Reサービスの閉鎖が決まって結果的にかえって良かったのかなと思います。これまでの流れからすると、いずれにしても閉鎖は免れなかっただろうし、仮に今閉鎖ということになったとしたら、その条件はもっと厳しいものになっていたに違いないと思います。本当に何がラッキーで何がそうでないか、なかなか判断が難しいものです。

これから来年の3月の年度末に向けて、日本の生保各社もさらに厳しい状況に立たされることになると思いますが、何とか生き延びて来年は少しづつ明るい話題が出てくると嬉しいなと思います。

坂本嘉輝


(2001年10月1日)

本の紹介をします。

1冊目は日本放送出版協会のNHKブックスの「信用と信頼の経済学-金融システムをどう変えるか」という本で、著者は竹田茂天さんという法政大学の先生です。
2冊目は草思社から出版されている「円の支配者-誰が日本経済を崩壊させたのか」という本で著者はリチャード・A・ウェルナーという人です。どちらも金融・貨幣とは何かというようなテーマについて書いてある本です。

1冊目の「信用と信頼の経済学」の方はそのものズバリ「貨幣とは何か」というのがテーマになっています。私も生命保険会社に勤務する形で長年金融の仕事に関わってきて、長年のテーマの1つが貨幣とは何か、どうして貨幣が貨幣として機能するのか、貨幣の価値はどうやって決まるのだろうかという事だったので、本当に面白く読みました。
世の一般の経済学、金融学の中ではこのような問題には実質的に何の答も出されていない(私もそう思います)という認識から出発し、従来の経済学や金融論の枠にとらわれず、金融工学、心理経済学、その他の広範な視野から貨幣と金融について考察をめぐらしています。
検討の中心にジンメルの「貨幣の哲学」という本を据え、様々な角度から貨幣について検討していますが、そのアプローチで特徴的なのは手軽に結論を出さず、あいまいなものはあいまいだと言い、わからないものをはっきりわからないという著者の竹田さんのスタンスです。
世の金融や経済に関する本はこのような(?)手軽な結論に満ちあふれています。あいまいな言葉を自分勝手に定義して使ったり、本当は良くわからないことを、一方的に理屈づけて説明したりしています。このような中で、この竹田さんのスタンスは本気で何かを考えよう、理解しようという人にとって、信頼できるアプローチになっています。
内容についてはとにかく大きなテーマですから、読み終わってまだ頭がボーゼンとしていて充分な整理がついていません。しかし貨幣とか金融について誰か他人の考えを受け売りするのでなく、本気で自分の頭で考えてみたい人にとっては非常に役に立つ本だと思います。是非読んでみて下さい。

2冊目の本は同様に金融とは何かについて書いてある本ですが、1冊目が哲学的なアプローチであるのに対して大変具体的なアプローチになっています。
即ち、日本の円を支配し、円の価値を操作し、バブルを膨らませ、そして潰し、その後失われた10年を全て計画的に意識的に行っているのは日銀だということを書いている本です。
この論証のために戦後の日本経済発展の原因が戦前から引き続く、経済社会の戦時体制にあるということ、この体制が敗戦後もそのまま維持され、戦後の日本経済の復興、発展のもととなったことを見事に描いています。この事については数年前、野口悠紀雄さんが「1940年体制」という本で、主に金融について同様のことを言っていますが、この本ではさらに広範にこの戦時体制が金融だけでなく、経済・社会体制に至るまで広く支配していたのだということを見事に表現しています。
貨幣については、貨幣の量とは一般に言われるM2+CDとか何かではなくて信用創造の大きさ、即ち、銀行貸付の額だということを言っています。この信用創造を量的にコントロールすることにより、日銀は自由自在にバブルを膨らませ、それを潰し、さらにその後10年にわたって経済回復の努力を何の効果もないものにし、不況を意図的に継続させてきたということを具体的に説明しています。
この本では金融当局(大蔵省、金融庁)の役人も政治家も経済学者もエコノミストも、この信用創造の力の秘密を知らずに日銀の手のひらで右往左往しているマヌケとして描かれていて、全ては日銀(の中心にいる何人かのプリンス達)が長期的な計画で全て意図的に行っているというように説明されています。
確かにバブルが膨らみ、はじけ、その後の失われた10年の経済を見てみるとそのような説明は首尾一貫した説明になっていますが、日銀が本当にそれほど全知全能の悪玉で、大蔵省の役人が何もわからないデクノボーなのかという気もします。
とまれ、このような本なので、ボリュームは大きな本ですが、かなりワクワク、ハラハラドキドキしながら読める本です。一読お勧めします。

坂本嘉輝


(2001年8月14日)

お待たせしました。

前回「近日中に」と書いたものの、思ったより時間がかかってしまいましたが、ようやく金融審議会の中間報告に対するコメントがまとまりました。
掲示板の方に掲示しました。見てみて下さい。中間報告のかなりの部分に意見をつけましたので、私の意見に対する皆さんのコメントをお待ち致します。

最近東洋経済新報社から出ている小藤康夫さんの「生保危機の本質」という本を読みました。期待して読んだのですが、またしても生命保険と生命保険会社に対する誤解を一層増す、あるいは混乱を増大させるような内容であったので残念でした。

「はじめに」のところに「ブラックボックスのような保険計理を改善しなければならない」という記述があり、その目的は賛成なので期待したのですが、その出来上がった本の内容を見ると、やはりそのようなテーマはアクチュアリーが努力しなければならないのだと思いました。

小藤さんの誤りの一つは、保護機構に投入されるかもしれない公的資金を、あたかも既に投入されたかのように理解している点です。「公的資金は既にあるけれど、世間からの批判を恐れてそれを使わない」というのと、「公的資金は看板だけで、本当に投入されるかどうかわからないし、投入されるとしてもいつになるかわからないので、実質的に使うことができないので、ないのと同じことだ」というのとでは全く議論が違ってきてしまうと思います。

次にALMに関し、「資産と負債の満期を合わせるALMは生保の常套手段であり、これを守っていれば逆ざや問題が発生することは絶対に有り得ない」という指摘で、損益のぶれを最小限にするALMで、絶対的な逆ざやが解消するかのような書き方になっています。予定利率と運用利回りの差がALMによって解決できるならこんな楽なことはありません。

最後に欧米数カ国の調査を元に、いかにも日本の生保が遅れていて、欧米が進んでいるかのような記述があります。そして欧米で売られている投信型の商品や、生存保険が今後日本でも生保が目指すべき商品だと無条件で推奨しています。それぞれの国でその環境に合わせて各企業が経営努力をしていて、必ずしもどの国が進んでいて、どの国が遅れているということはあまりありません。このような無条件の優劣のつけ方は誤解を生じさせるものです。

東洋経済から出版されていること、大学の先生が書いた本だということから、多分この本はかなり広く読まれるものと思いますので、あらかじめ目を通し、この本が話題になった時に備えて、正しい指摘と誤ったコメントを区別しておいた方が良いと思います。


坂本嘉輝


(2001年7月18日)

予定通り、6月29日にアイエヌジー・リ・サービス株式会社を解散しました。まだこれから、清算の手続きが残っており、中でも解散時点での決算、その後清算終了までの決算など面倒くさい仕事はいくつか残っていますが、とりあえず、方向は一本道なので気分的にはかなり楽になったような気がします。

7月14日には、オフィスも新しいところに移りました。
今までは、アイエヌジー・リ・サービス株式会社のオフィスに間借りしているような感じで、新しい会社の仕事の方が片手間の感じでしたが、今後は新しい会社の仕事がメインで、片手間にアイエヌジー・リ・サービス株式会社の清算作業をする、と言った感じになります。

金融庁から出ている金融審議会金融分科会第二部会の中間報告に対するパブリックコメントの呼びかけもようやく取り掛かることにしました。

報告自体は16ページ位のもので中でも注目の予定利率の引き下げは最後の3ページくらいのものです。マスコミを中心にして、この報告書中の予定利率の引き下げの部分ばかり何だかんだ議論されていますが、そこに至るまでの部分にもかなり問題な記述があります。明らかに疑問とすべきコメントや誤解、あるいはミスリーディングな記述も見受けられます。

パブリックコメントについては近日中に私の意見をまとめ、以前のように金融庁に出す前に「練習帳掲示板」に載せて皆さんの意見を聞かせてもらおうと思っています。

先日、この予定利率の引き下げ問題について週刊朝日の取材を受けました。先週発売された号にほんの少しだけコメントが載っていますが、実は1時間半ほどいろいろな話をしました。これも、この報告書を見たばかりでちょうど良いタイミングでした。

決算の株主総会、総代会も終わったところで、皆さんも一度目を通して見たらいかがでしょう。(これに目を通すこと、コメントを書いて金融庁に提出することに、アクチュアリー会の継続教育のポイントが何点つくのかわかりませんが)

アクチュアリー試験に挑戦中の方も是非読んで、どこが問題か、自分の考えはどうか考えてみて下さい。それをしたからと言って試験勉強の足しになるという保証は一切ありませんが、本物の生保アクチュアリーになるためには、非常に良い勉強の一つだと思います。

坂本嘉輝


(2001年6月25日)

以前、私の状況について、再保険のサービス会社を閉じることになったと書いてから気がついてみるとかなりの時が過ぎてしまいました。なかなか事態が進展しないのでまとまった報告ができなかたのですが、ここへ来てようやく具体的にいろいろ決まってきました。

2月20日にデンバーからの電話で、日本の再保険のサービス会社を閉じるという決定を知らされた後、まず第一優先順位の選択肢としてこのサービス会社を丸々そのまま買い取ってビジネスを継続する会社を探すという作業をしました。このような買い手がもしあれば、社員はそのまま働き続けられるし、INGとしてはオフィス閉鎖に伴うコストを節減できるし、買い手の企業も人探し、オフィス作りのコストを節減できるという、良いことずくめで、日本にオフィスを持つ計画の外資の生命保険再保険会社、あるいは日本に参入予定の外資の生保会社その他にあたってみました。

1ヶ月この作業を続けた結果、適当な買い手候補が現れないということで、やはり事務所は閉鎖し、従業員は全員4月19日付で解雇するということになりました。

そのまま閉鎖し、社員をハローワークに通わせてオフィスを空っぽにするというのも芸がないので、代替案として (1) この再保険のサービス会社を私がINGから買取り(といっても高々資本金1千万円の会社です)、社名を変更してビジネスを続ける。(2) 新しい会社を私が設立し、その会社を受け皿会社として社員の一部、オフィスその他を引き継ぎビジネスを続けるという2つの案を提案し、デンバーに選択を任せました。

デンバーとの話はそのまま進展せず、4月19日に社員は全員解雇になり、会社には後始末のため、私一人が残ることになりました。

デンバーとの話はその後、(1) の会社をそのまま買取る選択肢、はなくなり、(2) の新会社を設立してオフィスその他を引き継ぐという選択肢の方で詳細を詰めることになりました。その準備として5月16日に新会社アカラックス株式会社をアイエヌジー・リ・サービスと同じ住所で設立、登記しました。

その後、引続き詳細の詰めの交渉をデンバーと行っていたのですが、結局、最終的にうまく折り合いをつけることができず、やはり一番最初の一番単純な、単にアイエヌジー・リ・サービス株式会社という会社を解散・清算するということになりました。

今の予定では6月29日に会社解散のための株主総会を開き、その後清算の手続きに入ります。会社解散と同時に代表取締役は解任されますが、私は今度は「清算人」として後始末にあたります。清算には、債権債務の確定のための債権の申し立てのために待ち期間などがあり、最短でも約3ヶ月かかります。何とか9月末までに全ての手続きを終了させたいと思っています。

新しく設立したアカラックス株式会社は今のところ、アイエヌジー・リ・サービスのオフィスに居候の状況ですが、この会社の解散・清算に伴い、オフィスも明渡さなければならないので、新しいオフィスを近くにみつけ、7月半ばに引越しします。


坂本嘉輝


(2001年3月21日)

またまた本の紹介をします。

日本経済新聞社から出ている「検証バブル 犯意なき過ち」という本です。

実は2月17日付きのコメントでこの本を引き合いに出したのですが、その時、本の題名は知っていたものの、中味を読んでいなかったので大変な間違いをしてしまいました。

その時書いたのは「犯意なき過ち」という題から、誰も悪いことをしようと思ったわけではないんだから、原因探し犯人探しなんかやめよう、という本かと思ったのですが、実際読んでみて、全く違いました。

この本の中で明確に原因探し、犯人探しが行われていて、その中の主だった何人かに現時点でのインタビューがされています。

登場する多くの人が異口同音に言っているのは、「あの時はああするしかなかった、他にどうしようもなかった、こうなるとは思わなかった...」ということです。中には当事者としてインタビューを受けているにもかかわらず、第三者的なコメントしかしない人もいます。

本の題名の「犯意なき」というのは、本当は「反省なき」と言いたかったのかな、と思います。バブルをふくらませ、そして、潰し、これだけの大騒ぎになったのに、自分で何の反省もしていない。また同じような状況に置かれたら、同じような過ちを繰り返すに違いない。それがインタビューを通じて明らかにされている本です。

今回のバブルはいったいどのように作られたのか、それは防ぐことができなかったのか、何が間違っていたのか、等々考えるのに良い本です。

いよいよアメリカのバブルもはじけ始め、アメリカを10年前の日本と見比べながらこの本を読んでみると面白いと思います。


坂本嘉輝


(2001年3月12日)

少し身の上話をします。

昨年3月、ING グループが「生命保険の再保険事業を日本のマーケットを対象に行う」ということで、それをサポートするために ING Re サービスという会社を設立し、これまで営業を行ってきました。
先日、この ING Re の国際部のトップから電話で、「ING Re の日本マーケットでの生命保険の再保険事業をやめる」との連絡がありました。
1 年間、再保険にかかわる仕事をし、今更ながら改めて、日本の生保関係者・生保アクチュアリーが再保険のことをほとんど認識していない、理解もしていない、ニーズも認識していないことを痛感しました。これは改めて書きますが、「生命保険会社の金融リスク管理」という本を読んだ時にも痛感したことです。
こんな訳で商売のことも考えて、このホームページに再保険の話題を掲載し、少しでも再保険の考え方に馴染んでもらおうと思っていたのですが、ナント、本体が日本進出をやめてしまいました。

別に日本の会社に何か問題があったとか、日本の生保業界の将来性に期待できない、とか言うことではないのですが、それなりのビジネスを獲得するのに思ったより時間と金がかかるということで(何を今更、と言う気もしますが)、日本オフィスの閉鎖、またデンバーにある国際部を廃止、ということになりました。
1 年掛けて、ようやく明るい見通しがつきつつある時、チョット早急すぎる決定かな、と思いますが、とにかく ING グループはこのように決定しました。

私自身、また、ING Re サービスという会社が今後どうなるかは未定です。決定するのにしばらく時間がかかりそうです。その間、そちらにかなりの時間を取られてこのホームページにはあまり時間を割けなくなりますが、落ち着いたら再保険に関するコメントも含めて今後とも続けたいと思います。

坂本嘉輝


(2001年3月12日)

アクチュアリー会の監事を退任します。

1995年から今まで3期6年、アクチュアリー会の監事をしてきましたが、この度、晴れて監事を退任することになりました。とは言っても、5月の総会までは任期が残っていて、そこで任期満了に伴う退任ということになります。

皆さんご存知のとおり、アクチュアリー会の理事・監事の構成は、アクチュアリーの関わる各業界のバランスの上で作られています。
1995年に私が監事に推薦されたのもカタカナ生保の枠の中での人選だったわけです。昨年2000年3月に私はING生命を辞めて、現在のING Reサービスに移りましたが、その際、監事職をいどうするか、理事長に相談しました。
当時の理事長の見解は次の通りで、
「理事・監事の推薦は、各業界のバランスの上で行われているけれど、原則は個々のアクチュアリー会の正会員が個人として選ばれている。そのため、会社を替わったからといって、理事・監事を辞める必要はない。ただし、次回の改選の時には推薦されないかもしれないと思ってもらいたい」とのことでした。
今回の理事・監事の選出にあたっては、公益法人に関するルールが変わって、同一業界からの人の占率が多すぎるのはよろしくない、ということで、生保会社所属の理事の数を減らすとか、外部からアクチュアリーでない人に理事を頼む(社外取締役のような考え方です)とか、いろいろ変化があるようです。また近頃は、コンサルティング会社に勤めるアクチュアリーも増えてきて、その分野からも理事を出すようにしなければならないとか、いろいろあります。
どういうわけか、アクチュアリー業務をやっているコンサルティング会社はいくつも賛助会員になっていますが、再保険関連の仕事をしている会社はどこも賛助会員になっていません。私も去年の3月から個人会員です。アクチュアリー会の財政は基本的に賛助会費によって賄われているので、それを理事会の構成に反映させる必要がある、とのことです。
そんなこんなで、多分来月あたり行われる次回の理事・監事の投票には、私は推薦されないことになりました。ほぼ毎月1回行われる豪華お弁当付きの理事会に参加するのもあと2、3回です。


坂本嘉輝


(2001年2月17日)
今年に入って世の中の動きはまことに目まぐるしく、なかなかコメントも書けずにいました。
それにしても今頃になって、ソルベンシーマージン比率の計算方法を変えるため、業務純益の計算方式を定めてそれを公表するため、決算担当のアクチュアリーの皆さん、本当にご苦労様です。

また、4月の予定利率の引き下げに関しても、商品開発のアクチュアリーさんも決算担当のアクチュアリーさんも本当に大変だと思います。

最近「パラドックス系マネージャーがビジネスを変える」という本を読みました(リチャード ファースン著、早川文庫)。1997年に「パラドックス系」という書名で出版されたのを今年1月に文庫にしたもののようです。

その中で、目を惹かれたのは
『「プロブレム(問題)」に直面するのと、「プレディカメント(苦境)」に立っていることの2つを区別すること』(64ページ)
という言葉です。

『問題は解決し得るが、苦境という困難で困惑させられ、辛苦で難儀な状態には何とか耐えて事態を受け止め、曲りなりに対処する以外に手立てはない。』(64ページ)

今、生保業界が直面している逆ざやの問題はその意味で解決し得る問題ではなく、何とか耐えて、事態を受け止め、曲りなりに対処する以外に手だてのない苦境なのだと思います。

『問題というのは、失敗とか欠陥とか病気とか嫌な経験により、事柄が誤った方向に行くことによって作り出されるものである。原因さえみつかれば正すことができる。しかしながら苦境や難局や苦難というプレディカメントな状態は、逆説的に聞こえるだろうが、我々が高く評価し、大事に思う諸条件によって作られるものなのである。だからこそ、それには何とかうまく対処するしか他に方法はない。』(65ページ)

逆ざやの問題に関して言えば原因をみつけることも犯人を見つけることも、それ程難しくはなく、早い時期に問題として対応していたら、十分解決できたことだと思います。しかし、「空白の10年」と言われるバブル破裂後の10年が既に過ぎてしまっており、また「犯意なき過ち〜検証バブル なぜ日本は道を誤ったのか?」などと言う本が出版されるように、もはや誰も本気になって原因探し、犯人探しをしようとしない今、(今更そんなことをして何になるんだ...)むしろ事態はこれを苦境として捕らえ、簡単に解決し得るなどと考えない方が良いようです。

逆ざやの問題も元はといえば、戦後日本の生保業界が営々として営業努力、経営努力を続けた結果、気がついたらあり余るほどの富を蓄積してしまったことです。そしてその富をその時点の契約者、将来の契約者に分け与えようとした。この富の蓄積に貢献した人にも、しなかった人にも、お役人にも政治家にも、社長さんにもすべての人に分け与えようとした。善意からしたことなのですから。

逆ざやは今ここにある現実であり、簡単に解決できるような問題ではない。この解決できないという状況を正面から受け止め、これを生き延びる道を探そう、というのが正しい考え方なのだと思います。

『たいていの人々、特に組織の下の方の管理階層にいる人々は、自分たちの役割は問題を解決することだと考える。確かにかなりの程度はそうであるといえる。一定の状況を分析評価し、それをいくつかの細かい部分に分け、それぞれの細かい部分一つ一つに対して順々に対応していく。しかしながら組織階層を上昇していって経営者となると、問題ではなくて苦境に対応することの方が次第に増えていく。優れた経営者ならば、純粋な分析的思考方法では苦境には対応できないことがすぐにわかる。』(66ページ)
『苦境や難局に対しては、より創造的な発想法が必要である。苦境に対処するには、一つの状況をめぐるより大きな枠組みを持ち、数多くの文脈の中でそれを理解し、またより深いところまでその本質を見抜き、しばしば相矛盾するような原因と結果までしっかりと掴み取る能力が要求される。残念ながら、こうした難局を手際よくスムーズに処理するなどということはできない相談なのである。』(66〜67ページ)

ということで、生保会社の経営者の皆さん、本当にご苦労様です。今の苦境もまだしばらく続くようです。耐え抜き、生き延びる為に時として小手先の技を弄することもあるかもしれません。苦し紛れにイチカバチカの勝負に賭けたいと思うかもしれません。

ファースン氏の言うように、この苦境から目をそらさず、正面から受け止めてください。そして自分の目で事態を良く見極め、自分の頭で考えて下さい。
その上で、技術的な手助けが必要なとき、理論的な正当化が欲しい時、そんな時には世界一優秀な日本のアクチュアリーがいつでも協力する態勢ですぐ側に待機しているのですから。

この本を読みながらこんなメッセージを生保の経営者に伝えられたらなと思いました。

坂本嘉輝


(2001年1月21日)
第百生命の破綻処理案が発表されました。これに引き続き、残りの3社、大正生命、千代田生命、協栄生命の処理案も近々発表されることになると思います。
保険契約者保護機構から第百生命の破綻処理に当てられる額がほぼ決まったようですが、これによって、他の会社の破綻処理に使える金額は残り少なくなってきています。保護機構の資金援助は、このような早い者勝ち、で良いのでしょうか。
いずれにしても、生保会社各社の拠出はもうほぼ出尽くしで、いよいよ公的資金の投入の段階ですが、1年前に大蔵省のお役人が大見得を切ったように国会が公的資金の投入をすんなり認めるとも思えません。それでなくても、混乱必死の国会がいよいよ始まります。

年末から年始にかけて、マーケットは大荒れの様相を呈しており、株価、為替が大きく変動しています。3月に向けて、これ以上の生保会社の破綻は起こってもらいたくはありませんが、全ての会社がうまく生き延びられるでしょうか。当然のように、マスコミは国民の不安感を煽り立て、それに引きずられるように政治家や役人たちが騒ぎを拡大すると思われます。ソルベンシーマージン比率の計算の見直しが話題になっていますが、それによって何が起こりうるかちゃんと考えてから決めることができるでしょうか。

生保会社の経営に対して、なかなか不安感がぬぐえない一つの要因は、『わからない』ということだと思います。経営が健全なのかそうでないのかが良くわからないから、なんとなく不安だ、だからソルベンシーマージン比率は高ければ高いほどいいんだ、他社と比較して低めの会社は危ないんだ、ということになっているのではないでしょうか。
決算の結果は、どうせみんななんかインチキをしているに違いないのだから、見たってしょうがない、ということではないでしょうか。こんな状況では、ダルマ落としで、どこそこがだめになったら、次はどこだ、ということで不安感はいつまでも消えないでしょう。そして、そのさなかに予定利率の引き下げによる保険料率の引き上げが行われます。

生保会社の経営の中身、決算の中身はなかなか見えないものです。毎年のように、決算のディスクロージャーは充実してきてはいますが、まだまだ中身を良く見ることができるまでの詳細が公開されているわけではありません。と同時に、今の段階でもう既に、一般の人が見て理解することがほとんど不可能なほど難しいものになっています。
さらに、日本ではアメリカのGAAPに対応する、業績評価のための会計制度がないため、監督官庁に提出する、保守的な会計基準に基づく決算だけが公表される、ということになっています。

保守的な会計制度では、様様なところで、負債を過大に評価したり、資産を少なめに評価したりして制度的に自己資本を少なくしています。ところがこれでは生保会社側もたまりませんから、会計のルールの許す範囲内で、負債をできるだけ少なく評価したり、資産を過大に評価したりして何とか見た目を取り繕おうとすることになります。
このように資産の過大評価と過小評価、負債の過大評価と過小評価がごちゃ混ぜになってしまうと、実態がどうなっているのかなど誰にも(内部にいる人にも)わからなくなってしまいます。

現在話題の国際会計基準は、資産・負債を公正価格で評価し、それによって自己資本をできるだけ正しく評価する、という立場で、明確にバランスシート重視の立場をとっています。これで資産・負債の評価の問題はかなり解決できるとしても、まだ、ソルベンシーの問題と業績評価の問題はこれとは別の問題として残ると思います。

国際会計基準の導入の準備や、それを日本流にどのように適用していくか、という問題を考えると同時に、そのような会計制度のもとで、ソルベンシーや業績評価をどうするか、考え始めてもいい時期なのかもしれません。

坂本嘉輝


(2001年1月20日)
またまた本の紹介です。

昨年末に、日経BP社から、『【真説】バブル―宴は終わっていない』という本が出版されています。
あのバブルの象徴的存在であったイ、アイ、イ グループの高橋治則氏を中心に、80年代後半のバブルが次第に膨らんでいくところから、それがはじけ、崩壊していく過程を表現しています。中心となるのは高橋氏と、イ、アイ、イ グループ、長銀ですが、それだけではない、日本のバブルの全体像がうまくまとまって書かれています。
この十数年の間に何が起こり、その時々にみんながどのように考え、言っていたか、改めて考えさせられました。

アメリカで今起っていること、アメリカの経済について人々が語っていることを見聞きするにつけ、良く似ているな、と思います。
もう一度、あのバブルが何だったのか、考え直すいい機会になりました。

第百生命の破綻処理案が発表され、残りの3社の破綻処理案の発表も近いと思います。今のマーケットの状況では、さらにいくつかの追加的な生保会社の破綻のニュースが発表されるかもしれません。

3月末に向けて、決算に、商品改定に忙しい人が多いと思いますが、時間があったら読んでみてください。

坂本嘉輝


(2001年1月14日)
懸案だった、過去ログの表示の仕方を、ようやく変えることができました。
従来は、過去の投稿の内容を列挙するだけだったのですが、これを変更して、表題列挙の方式に変えました。表題で見たい記事を探したら、その表題をクリックしてもらって、記事の中身を読んでください。
使い方は、過去ログでない、通常の記事と同じになります。ただし、過去ログについてはレスポンスを返すことはできませんので、必要であれば、新しい投稿として新たに記事を投稿してください。
とりあえずの動作確認はしてありませが、なにせ、素人の片手間作業ですから不備があるかもしれません。そのときにはどうか、お知らせください。

いよいよ年も改まり、省庁再編も実施に移されました。私の意見は、この省庁再編が発表されたときから、無条件にいいことだ、と考えています。これは何も、新しい体制が良いとか言うことではなく、とにかく変化があり、今まで別々の官庁にいた役人たちが同じ官庁で権力争いを始める、あるいは新しい官庁同士で権限の取り合いを始める、その中で次第に今までの既成事実が壊れていく、そのことを期待しているわけです。
2,3年して少し落ち着いたところで、また、省庁再編を行う、これを4,5回繰り返せばかなりすっきりした行政体系が出来上がるのではないか、その時には今の各省庁の既得権の権限体系はほとんど壊滅しているのではないか、というのが私の期待です。

アメリカのバブルも終局を迎えようとしていますが、それと同時に日本もバブル清算の最終局面に向かっているのでしょうか。今年は年初からマーケットの動きはなかなかダイナミックです。このような中、日本の生保関係者の間ではまだまだ再保険に関する認識が不十分だと思います。これは私の商売の宣伝にもなりますが、再保険について、昨年1年間色々勉強し、考えたことを踏まえて、掲示板の方に投稿する予定です。参考にしてください。

坂本嘉輝



(2001年1月8日)
2001年明けましておめでとうございます。
このホームページも2年目に入り、良くこれまで持ったな、と感慨深いものがあります。皆様の暖かい励ましと、協力に感謝いたします。

年末年始の日本およびアメリカの株式市況の動きを見ても、今年も生保会社の経営環境は相変わらず厳しい状況が続くものと思います。

昨年は大正生命、第百生命、千代田生命、協栄生命の破綻でしたが、今年はあとどれくらいの会社の破綻のニュースを聞くことになるのでしょうか。

生保会社の破綻のニュースの度に話されるのが、契約者の自己責任という言葉で、破綻するような会社と契約していたのは自分の責任だ、という意見です。これに対して生保の情報開示の状況から、情報もないのにどうやって判断したらいいんだ、という反論が出されます。いつも議論はここで止まってしまいます。

仮に情報が十分に開示されたとしても、それを個々の契約者がすべて理解して的確な判断ができる、などということは現実的ではないでしょう。生保会社の中にいるたとえばアクチュアリーであっても、自分の会社の決算の詳細な情報を与えられて、それをすぐに的確に理解することはなかなかできないことです。

アクチュアリーの側では、情報が正しく理解されないのであれば、誤解されるよりは情報を出さない方が良い、と当然のように考えます。消費者の側では、情報が提供されないので理解しようと思っても手も足も出ない、ということになります。

多分、この中間の存在が必要なのだと思います。
生保会社の側は、情報が正しく理解されることを期待して、できるだけ情報を開示する。それを十分に理解・咀嚼して一般の消費者にわかりやすい形に説明する、中間的なコンサルタントのような存在があって、その情報を聞いて、一般の消費者は自己責任で自分の判断をする。そんな形が必要なのではないでしょうか。

生保会社の決算・経営内容を本当に理解するためにはアクチュアリーの素養・理解が必要です。従来、アクチュアリーのコンサルティングのビジネスは日本でもありましたが、その多くは(年金の分野を除くと)生命保険会社に対するコンサルティングの仕事で、一般の消費者に対するコンサルティングはほとんどありません。

生命保険に関するコンサルティングを仕事にしているファイナンシャルプランナーやその他のコンサルタントは、やはりアクチュアリー的な素養・経験が必ずしも十分ではないので、生命保険会社のことを十分理解するのはかなり難しいようです。

このような、消費者サイドに立ったアクチュアリー(コンサルティング)ができるといいな、と思います。ちょうど一年前、こんなことを考えていたのですが、たまたま生命保険の再保険の仕事をすることになってしまい、自分でこれをすることが難しくなってしまいました。

このようなアクチュアリーコンサルティングの組織があって、生命保険会社が今まで以上の情報開示をすれば初めて自己責任という言葉が意味を持ってくるのではないか、と思います。

昨年、再保険の仕事にかかわるようになってアメリカの事情を少しずつ知るようになりましたが、アメリカの生命保険会社の情報開示はすさまじいもので、監督当局に提出する決算報告書がそのまま公開されているようです。その中に含まれている情報量は、日本の情報開示の比ではなく、監督当局(金融庁)に報告する決算報告よりもさらに詳細です。(たとえば、再保険であれば、どこの再保険会社にどれだけ出再しているかとか、どこの元受会社からどれだけ受再しているかとかそういった詳細な情報が含まれています。) このような開示情報を元に、Best's社が詳細な保険会社情報を集めた本を出版しています。こんな情報が日本でも入手できれば、私の再保険の仕事もかなりやりやすいのですが。。。。


今年も御支援、よろしくお願いいたします。

坂本嘉輝



(2000年12月30日)
このホームページを開設してから、1年が経ちました。
おかげさまで、大勢の人々に参加していただき、掲示板も様様な話題で盛り上がりました。

アクチュアリーの存在を世の人々に知ってもらい、また、アクチュアリーの人々にもアクチュアリー以外の人たちとコミュニケーションする機会を増やしてもらうことを目的として開設したホームページ、管理者の私自身としては十分な情報発信ができませんでしたが、予想以上の大勢の方々に参加していただき、アクチュアリー以外の人の積極的な参加もあって、思い切ってやってみてよかったな、と思っています。
掲示板に参加していなくても、継続的にホームページを見ていてくれる人たちもたくさんいるようです。そのような人たちにとっても、このホームページが様様な問題を考えるきっかけになっていると思います。

時として掲示板の議論がエキサイトしても、スムースに問題が整理され、立場の違いは違いとして冷静な議論ができているのではないか、と思っています。
次々の生命保険会社の破綻など、アクチュアリーの存在意義はますます大きくなるばかりですが、アクチュアリーの発言力は必ずしもそれに比例して大きくなっていない、このような状況は、アクチュアリーにとってもその他の生命保険にかかわる人にも不幸な状況だと思います。

来年も、今年以上に様様な課題がアクチュアリーを待ち受けていることと思います。これに真摯に立ち向かうアクチュアリーの人たちにこのホームページが少しでも役に立つことを期待したいと思います。

1年間、応援していただいて、本当にありがとうございました。
すばらしい、新世紀をお迎えください。


坂本嘉輝


(2000年9月24日)
このページを更新しないままホッポットイテいる間に、掲示板の方は大変盛り上がっています。今まで参加していた人たちは、どちらかといえば似通ったタイプの人たちだったかもしれませんが、今ではこれまでいなかった人も多く参加してくれ、掲示板が本当ににぎわっています。
ファイナンシャルプランナーさんや生命保険の代理店さんなども参加してくれて、議論に幅がでてきています。
中には、ちょっと勇み足、と思えるような多少過激なコメントもありますが、私が何か言う前に、ほかの参加者の人からチェックが入り、私の出番も少なくてすんでいます。

掲示板のコメントが多くなり、過去の投稿分は掲示板の「過去ログ」というところに移されています。今まで気がつかなかった方は、確認してください。この「過去ログ」が、今いち見易くないので、何とか改良しようと思っています。

先月、日本経済新聞から出版された、『金融迷走の10年』という本を読んでいます。バブルが頂点に達しようとするころから今までの約10年余りにわたって、金融の世界にいったい何が起こっていたのか、改めてまとめなおしてみた、という本です。日本経済新聞の本ですから、行政の側に立った行政弁護の部分もありますが、それと同時にかなりストレートに行政批判をしている(せざるを得ない)部分も多く、興味深く読める本です。行政をはじめとして、各金融機関がいかにインチキなことを大々的にやっていたのか、うまくまとめてあります。もし、まだであればぜひ一読をお勧めします。


(2000年7月16日)
浅谷さんのHPによると、浅谷さんは、12日に退院されたようです。おめでとうございます。
また、元気に辛口のコメントを期待したいと思います。
浅谷さんが入院で休んでいる間に思ったほど宿題をこなすことができませんでした。

掲示板で「生命保険の原価」について議論が展開されていますが、週刊文春の記事、読まれたでしょうか。
これでまた、このHPのアクセスが一気に増加することと思います。
別に、アクセス数の多さを自慢したいわけではないのですが、アクチュアリーの発言を多くの人に聞いてもらうためにはいいことだと思っています。

(2000年7月2日)
浅谷さんのHPの意見を宿題にして何らかの意見を言おうとしたとたん、浅谷さんのHPで、入院されることを知りました。
オットット、といった感じですが、浅谷さんが入院で休んでいる間に宿題をこなそうと思っています。
浅谷さんが入院から無事に戻られるのを待ちたいと思います。
このHPのどこかで書いたと思いますが、3月から新しい会社に移っています。
とりあえず、会社を設立し、そのお披露目の挨拶を、ホテルで立食のパーティー形式で6月30日に行いました。
総社員数3人の小さなオフィスなので、準備作業は大変でしたが、多くの人たちの協力で、何とか無事に、楽しくパーティーをすることができました。
これで安心して、これからじっくり、仕事と勉強ができるのではないか、と思っています。

(2000年4月30日)
ついに、第一火災の経営破綻が決定したようです。
先週、検査を強化することで破綻が防げるならこんなすばらしいことはない、とコメントしたばかりで、もうこんなニュースが出てしまいました。
日産生命の破綻のニュースが出て以来、毎年、ゴールデンウィークは気がかりな期間です。3月末の決算はほぼまとまりつつあり、また、連休があります。
大型の金融機関の経営破綻のニュースはマーケットに与える影響を極力少なくするためにマーケットの休み中に発表し、その休み中に何らかの解決の方向性を出してしまう、というのが慣習になりつつあるようです。
この意味では、今度の水曜日から始まる5連休は、何が発表されるのか、気になります。
保険会社に対する検査マニュアルの案が金融監督庁から発表され、パブリックオピニオンが求められていますが[http://www.fsa.go.jp/]、これをじっくり読んで、何が基本的に問題なのか、どのような方策が可能なのか、ゴールデンウィークの宿題として考えてみてはいかがでしょうか。

(2000年4月25日)
先日、4月23日の日経新聞に、金融監督庁が生保を定期検査する、という記事が第一面に大きく掲載されました。
記事の内容は、検査のガイドラインを定めること、検査官を増員すること、等、取立ててこれといったことはないのですが、中に、注目すべき記述がありました。
それは、
「従来、検査の頻度は特に定められていなかった。昨年6月、破綻した東邦生命の場合、93年5月以降検査せず、経営実態が正確につかめなかった。今後はすべての生保について原則3年に一度立入り検査するほか、日常的な監視も強める。」
という記述です。
知らない人が素直にこれを読んだら、そんなものか、今後は多いに改善されるのだろう、というように読むかもしれません。
このような記述・説明を、金融監督庁が用意したのか、あるいは日経新聞の記者が自分で考えたのか、いずれにしても、なんともすさまじい捻じ曲げが行われているのに呆れ果てました。
生保の関係者(特に検査に関する部門にいる人)にとって、どの会社にいつ検査が入って、どのような検査が行われているかトレースするのは当り前のことです。
ここ何年かの大蔵省、金融監督庁の検査が、いつ、どの会社に対して行われたか、をトレースしていれば、上記の記載が全く的外れだということは明らかです。
「93年5月以降、大蔵省・金融監督庁は東邦生命の経営実態をある程度つかんでいたため、恐くて検査に入れなかった。GEエジソンに営業譲渡する際にも、また、経営破綻した後でも検査当局は東邦生命の経営実態を正確につかむことを恐れて検査をしようとしなかった。」と書くのがより正確ではないでしょうか。
記事の最後に、「監督庁は、検査の拡充による破綻の未然防止が不可欠と判断した。」と書いてありますが、このような検査の拡充で破綻が未然に防げるのであればこんなにすばらしいことはありません。
2000年3月期の決算が今まとまりつつある時期だと思いますが、今期の決算で、新たな破綻が表面化しないことを祈りたいと思います。

(2000年4月16日)
1ヶ月以上、このページのアップデートをしませんでした。HPのアクセス数は急激に増加しており、うまく管理し続けられるかどうか本当に心配です。
この間、仕事の面では新しい会社をとりあえず設立し、(といっても自分で事業をやるわけではなく、あくまで雇われマネージャーですが、それでもかなり自由にあれこれできます。)それが会社として機能するための作業にかなりの時間を費やしました。
小さなミーティングルームなどもありますので、アクチュアリー同士の打ち合わせや、勉強会などで会議室を見つけられない時など、声をかけてみてください。(3〜4人用の打ち合わせルームと8人から10人程度のミーティングルームがあります)
3月の最終週と4月の最初の週にかけて新しい会社の本部のある、アメリカに行ってきました。新しい会社の仕事は、生命保険の再保険に関する仕事ですので、その為に山ほどの資料をもらって帰ってきました。
再保険を本気でやるためには、保険の契約自体、保険会社、会計、法規制、税制、等々、様々なことを理解する必要があります。この過程で、アメリカの生命保険の現状についての勉強も否応なく必要となってきますので、皆さんにお知らせできることもあるかと思います。
勉強の本来的な目的は、新しい会社の商売の必要ですが、別にそれにあまりこだわらず、日本の生命保険アクチュアリーや、その他関係者の皆さんに役立つ情報があればお知らせします。(それがうまく仕事に結びつけば、最高ですが。)

今回のアメリカ出張では、PCを持っていったので、アメリカ滞在中もインターネットでニュースを確認したりメールをやり取りしたり、非常に便利でした。アメリカの接続ポイントに接続したので、高い国際電話の料金を心配することもなく、本当に便利な世の中になったものです。
ホームページを編集するソフトは持っていかなかったので、本来であればこのページに書くようなことも、「練習帳」掲示板に書いてしまいました。

岡本さんから、「練習帳」掲示板はまとまったものを書くには小さすぎるのではないか、との指摘を受けていました。確かに見た目はそのとおりなのですが、確認のために以前、このページからリンクする形で掲載した、岡本さんの、大蔵省のパブリックコメントの募集に対する投書内容を「練習帳」掲示板に再掲してみました。かなりの分量の文書でも掲示できそうです。(掲示板に直接書き込むのは大変だと思いますので、大きな文書の場合にはあらかじめワープロか何かで書いておいて、それを切り張り(cut&paste)する形で掲示板に載せるほうがらくだと思います。)

野上さんの主催による、激励会を開いてもらいました。参加人数はきわめて少なかったのですが、楽しいひとときを過ごすことができました。それにしても、4月に入ってしまって、時期的に皆さんもうお忙しかったのでしょうか。
またいつか、この様な「Off」のミーティングで楽しいひとときを持てたらな、と思っています。

(2000年3月5日)
しばらくこのページのアップデートをしませんでした。HPのアクセス数は急激に増加しており、うまく管理し続けられるかどうか心配になるくらいです。
個人的には仕事をする環境が変わりました。(「自己紹介」のページを見てください)
交通至便のところに、小さなオフィスを作りました。興味のある方は、覗いてみてください。仕事の傍ら、アクチュアリーの方々の勉強や情報交換に役に立てるように、と考えてオフィス作りをしていますので、良かったら利用してください。
(私宛て、メールか電話(03-3510-7055)FAX(03−3510−7059)で連絡いただければ詳しい場所等、お知らせします。

先日、大手の会計事務所の人と話す機会がありました。
会計事務所も、最近、アクチュアリーの充実に努めていて、アクチュアリージャーナルに求人広告を載せたい、と申し込んで断られた、という話しをしていました。
私も以前、同様な経験があります。
その時のアクチュアリー会事務局の説明は、アクチュアリー会は公益法人として、儲けることも損することもできないので、広告代をとって広告を載せるのは難しい、ということでした。
もちろん、もう一つの理由として、求人広告によってアクチュアリーを失う可能性のある、多くのアクチュアリーを抱えている大手生保が賛助会員としてアクチュアリー会の大口スポンサーになっているため、その大口スポンサーに不利になるようなことはやりにくい、というような説明はありませんでした。
その会計事務所の先生は、アクチュアリー会の事務局から逆に、公認会計士協会はどうしているのか、と質問され、会計士協会ではそのための組織を用意しており(「就職委員会」といったかもしてませんが、ちょっとあいまいです)積極的に求人や求職に関与していると説明したそうです。
アクチュアリー会でも、(アメリカは良く知りませんが)イギリスのアクチュアリー会では会員向のActuaryという雑誌に求人広告をたくさん載せています。
私がこのHPを作った目的の一つには、アクチュアリー会ができない、この様な求人・求職の情報提供もしたい、ということも含まれています。
「練習帳」掲示板には、何でも書いてください、といったのは、そのような意味だったのですが、言葉足らずだったため、今までのところ、掲示の内容は真面目なものばかりです。
求人・求職の広告は、無料です(本当はここで稼ぎたい気持ちもありますが)。その代わり、求人側、求職側の信用や、支払能力、アクチュアリーとしての能力等についてわたしは一切責任を持ちません。興味のある人はあくまで1対1で交渉してください。
一つの会社でじっくり仕事を覚えるのも良いですが、いくつかの会社で様々な経験を積むのもアクチュアリーの能力を高めるのに良いことかもしれません。
小さな会社であれもこれもやらなければならない、あるいは人事のローテーションでいろいろな経験ができる、ということであればそれでも良いでしょうが、大きな会社で、業務の変更もあんまり行われない、というような職場の人にとっては一考の余地があるかもしれません。
いずれにしても(特に若い)アクチュアリーの人が様々な経験を積んで、立派なアクチュアリーに成長してくれることに少しでも役に立つことができれば幸いです。


(2000年2月19日)
掲示板(練習帳)が動くようになり、皆さんから様々な発言がいただけるようになり、ようやくこのHPが本格的に動き出したようなきがします。
私自身としても、ホームページのhtml文書をいちいち書きかえるより掲示板(練習帳)に書き込むほうがはるかに簡単におこなえるため、助かっています。
念の為に書いておきますが、掲示板への書き込みはHPを見ることができる人は誰でもできます。メールのようにインターネットメールアドレスがなくとも、単にHPを見るついでに書き込んでもらえます。試してみてください。
東邦生命の契約のGEエジソンへの移転も、異議申立てが法定割合に達しないまま成立せず、予定通り3月1日に契約の移転が行われるようです。
契約者保護機構の負担額も、これまで説明されていた3,600億円から3,800億円に膨らんでいるようです。
第百生命の、ソルベンシーマージン比率の虚偽報告というニュースも飛び込んできて、いよいよアクチュアリーが本気になってその専門家としての役割と責任を果たす時ではないかと思います。
その為に、このHPが少しでも役に立てばうれしいな、と考えています。

(2000年2月13日)
今日、ようやく掲示板(練習帳)が動くようになりました。
先週も、多数のアクセスがあり、これで何とか、皆さんに自由にいろいろ発言してもらえる場所を用意することができたか、と思います。
東邦生命の処理についていろいろ議論するには時間不足になってしまったと思いますが、今後とも議論のテーマはいくらでも出てくると思います。積極的に活用してください。
なお、以前の形の掲示板(練習帳)の内容は、正式の「練習帳」のほうに載せ直そうと思っていますが、それまで、「旧版練習帳」として置いておきます。こちらも参考にしてください。
また、「練習帳」のページは結構高度のCGIを使っているため必ずしもスムースに動くかどうか不安が残ります。何か不具合があったらお知らせください。
それでは、皆さん、楽しんでください。

言うまでもないことですが、このページはアクチュアリーの人専用、ということではありませんので、アクチュアリーでない方も、どうぞ、自由に参加してください。

(2000年2月5日)
今日からようやくCGIを使えるようになり、各ページにカウンターを設置しました。
掲示板(練習帳)のほうはまだ、うまく動いてくれません。もうしばらくかかるかもしれません。
先週、浅谷さんのホームページに紹介されてから、1週間でアクセスの数は10倍になりました。浅谷さん、ありがとうございました。

(2000年2月1日)
今日も引き続き皆さんがホームページを見てくれています。
昨日、岡本さんがパブリックコメントへ意見表明した文書を送ってくれました。
岡本さんの了解を得て、私とのメールのやり取りを含めて転載します。
岡本さん、ありがとうございました。

(2000年1月31日)
昨日、浅谷さんがホームページにこのホームページを紹介する記事を掲載してくれました。浅谷さんのホームページは(私を含めて)多数の固定客を保有しているため、このホームページへのアクセスも一気に増加しました。今日一日だけで、先週一週間の3倍を越えるアクセスがありました。浅谷さん、本当にありがとうございました。

何人かの方からこのホームページに対して激励のメールもいただきました。何とか早く掲示板を使えるようにして、皆さんに直接、メッセージを読んでいただきたいのですが、もう数日お待ちください。この週末には何とか使えるようにするつもりです。

(2000年1月30日)
現在のところ、まだCGIが使えません。掲示板が予定通りに使えるようになるまで、もう少しかかりそうです。
先週、このHPを立ち上げて以来、1週間でカウンターは30くらいしか増えていません。
そのため、掲示板がまだ使えないのは返って良かったのかもしれません。
今週は、もう少し見に来てくれる人が増えるとうれしいのですが。

(2000年1月20日)
まず、このHPの目的のページを見てください。
次に、主旨のページを読んでください。
後は、ご自由に練習帳を読んだり書いたりしてください。
皆さんのご協力に感謝します。